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キヤノン「PIXUS MG6230」は、“もう1つの本命”として浮上するか?
2011年末の個人向けプリンタ商戦でいち早く新機種を投入したのがキヤノンだ。インクジェットプリンタの「PIXUS」シリーズに7機種9モデルを用意し、9月上旬から順次販売を開始している。ラインアップは主力のA4複合機が6機種(カラバリ含めて計8モデル)、A4単機能機が1機種だ。
【2011年末プリンタ徹底検証:キヤノン「PIXUS MG6230」】
A4複合機は、カラーバリエーションや無線LAN搭載機、自動両面印刷ユニット搭載機の拡充、スマートフォンやタブレット端末、クラウドサービスとの連携強化、エコ設定の搭載といった改良を施している。
写真で見る、キヤノン「PIXUS MG6230」:(http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1112/22/news073.html)
この中核となる売れ筋機種が「PIXUS MG6230」だ。新ラインアップの中ではミドルハイクラスに位置し、競合機種に対抗できるだけの豊富な機能と3色のカラバリ、そしてリーズナブルな価格を実現している。今回は新色の「ブロンズ」(型番はPIXUSMG6230BR)を選択した。
●新色は大人向けのブロンズ
MG6230でまず目を引くのはそのボディデザインだ。特にこのブロンズモデルは、これまでのプリンタでは見られなかったボディカラーを採用している。昨年(2010年)の「PIXUS MG6130」ではブラックとシルバーのカラバリを用意していたが、これが予想以上に好評だったことと、ユーザーのボディカラーに対する意識が高かったことから、今回のバリエーション強化に踏み切ったという。
キヤノンに限らず、インクジェット複合機は数年前から「生活家電」としての道を模索している感があり、カラバリの増加は必然といえる。毎年の進化で性能や機能の差別化が難しい中、デザインやカラーで目を引くことは重要になってきており、それだけ個人向けプリンタ市場が成熟したのだろう。
さて、このブロンズは名前の通り、青銅のように鈍く光る落ち着いた風合いの茶色だ。もちろん、実際に銅を素材に使っているわけではなく、ボディは樹脂がベースだが、チープさはまったくない。
競合するエプソンの「EP-804A」が女性を中心に受けそうなレッドを採用しているのに対して、MG6230は木製のテーブルや革張りのソファ、あるいは和室にも合いそうな大人向けの渋いカラーといえる。
天面はLEDが点灯するタッチインタフェースを搭載する関係で、ほかのカラーと同じ光沢ブラックに統一されているが、ツートーンカラーとして自然な印象だ。
●2Way給紙や自動両面印刷に対応しつつ、コンパクトにまとめたボディ
それでは、実性能の部分に目を向けていこう。給紙機構はすでにおなじみとなった2Way給紙を採用し、目的に応じて使い分けることができる。給紙の内訳は、後部トレイが多目的用途で容量150枚(はがき40枚)、前面下部のカセットが普通紙専用(A4/A5/B5/レターサイズ用)で容量150枚となる。一般家庭では、前面カセットにA4普通紙をセットし、後部トレイを写真用紙やはがきで使い分けるといった運用になるだろう。合計300枚はホームユースとして十分な給紙容量といえる。
前面に2系統の給紙機構を備えた製品と比較した場合、給紙トレイが後ろ斜め上に伸び、給紙したままの状態で収納できないが、後部トレイは用紙をUターンさせる必要がなく、用紙をあまり曲げずに搬送可能なため、安定した給排紙が期待できる。給紙容量や用紙交換のしやすさでも有利だ。また、印刷作業の効率アップや用紙の無駄削減に貢献する、自動両面印刷ユニットを標準装備しているのもうれしい。
一方、Blu-ray/DVD/CDレーベル印刷用のトレイは別パーツを手動で着脱する必要があり、トレイを本体に内蔵した製品よりスマートさに欠ける。
排紙は前面に集約される。ボディのフロントパネルが手前に倒れこんで排紙トレイになる機構だが、いちいちユーザーが開く必要はない。MG6230の排紙トレイは印刷が開始されると自動的に開口するように設計されている。
さすがにペーパーサポートは手動で引き出さなければならないが、「トレイが開いていません」といったエラーやペーパージャムの煩わしさからは解放される。この辺りはネットワークプリントをサポートしているがゆえの工夫だろう。
快適な運用には設置面積が大事な要素だが、MG6230のボディサイズは470(幅)×367(奥行き)×173(高さ)ミリとコンパクトにまとまっている。先代のMG6130が470(幅)×368(奥行き)×173(高さ)ミリだから、ほぼ同じボディサイズだ。前面2系統給紙の製品より高さはかさむが、自動両面印刷ユニットを標準装備してこの奥行きは短い。
使用時には排紙トレイを倒す必要が生じるため、17~18センチ程度(排紙トレイ全開時)の奥行きが追加されるが、前方に伸びるならばさして邪魔にもならないだろう。後部トレイを使用する場合には背面のスペースも増すが、こちらはトレイが鋭角に切り立っているので5センチ程度のスペースがあればよい。総じて、設置がしやすく、給排紙もよく考えられたボディといえる。
●充実のインタフェース、簡単無線LAN接続もサポート
PCとの接続インタフェースはUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LANを標準装備。プリンタドライバの対応OSは、Windows XP/Vista/7、Mac OS X 10.4.11以降となっている。簡単に無線LAN接続が可能なAOSS、らくらく無線スタート、WPS、WCNもサポートする。
そのほか、USBメモリやPictBridge用のUSBポート、コンパクトフラッシュ、メモリースティックPRO、メモリースティックPRO デュオ、SDHC対応SDメモリーカード/MMCに対応したカードスロットも備える。
●グレーインクと2つのブラックインクを搭載
プリントエンジンは染料5色に顔料ブラック(BCI-325)を合わせた6色構成を採用。インクカートリッジは前モデルのMG6130から変更はなく、染料系のBCI-326(シアン、マゼンタ、イエロー、グレー、ブラック)と顔料系のBCI-325(ブラック)を使用する。キヤノンが「6色W黒(ダブクロ)」と呼んで、競合機種との違いをアピールする部分だ。
低濃度のカラーライトインクは持たないものの、グレーインクによるモノクロ印刷での階調表現力やグレーバランスのよさ、そして顔料ブラックインクによる普通紙やはがきのシャープな黒印字を実現しているのがポイントとなる。カラー写真の印刷についても、高密度プリントヘッド技術「FINE」が威力を発揮し、最小ドロップサイズが1ピコリットルと小さく、細かくインクを打ち分けられるため、6色染料機に比べて仕上がりで不満を感じることはまずないだろう。
プリントヘッドのノズル数はシアン、マゼンタ、グレーが各1536ノズル、イエロー、染料ブラック、顔料ブラックが各512ノズルの合計6144ノズルと非常に多く、画質と印刷速度の両面で貢献する。公称の印刷速度は、L判写真用紙(写真用紙・光沢 ゴールド)1枚で17秒とされている(印刷速度の測定結果は後述)。
スキャンエンジンは、読み取り部に解像度が4800×4800dpiと高いCISを採用。読み取り階調はRGB各色16ビット入力、8ビット出力に対応する。USB接続での運用のほか、ネットワークスキャナとしても利用が可能だ。また、スキャンしたデータをUSBメモリや各種のメモリカードに保存できるなど、スタンドアロンでもスキャナとしての運用が可能になっている。
●光がナビゲートする操作パネルはさらに進化
天面に配置された操作パネルは、PIXUSが昨年から取り入れた「インテリジェントタッチシステム」(Intelligent Touch System)を継承している。
LEDと静電センサーを組み合わせた操作ボタンは、何もしていない状態ではブラックアウトしていて見えず、メニュー操作に応じて必要なボタンだけをLEDで浮かび上がらせることで、複合機の操作を分かりやすくしている。もちろん、液晶モニタには簡易ナビゲーションも表示される。
フラットな黒い天面に静電センサーのボタンがフワッとLEDで浮かび上がる様子は、一昔前のゴツゴツしたボタンが並ぶ複合機から買い換えた場合に、最も進化を感じる部分かもしれない。
インテリジェントタッチシステムの特徴は、静電センサーを用いた操作感にある。ボタンのように押し込む必要がなく、指をスライドさせるだけで操作が可能だ。センサーの感度はよく、液晶モニタのメニュー表示も機敏なので、作業を軽快に進めることができる。なお、従来機のユーザーインタフェースで好評を得たホイール操作も静電センサーのサークルで実現している。
液晶モニタのメインメニューは、多数の項目を1画面に詰め込むのではなく、あえて1画面内のアイコン数を3つまでに絞り込んでいる。キヤノンによれば、これは操作に迷わないようにするためと、老眼や乱視の方でも十分な視認性を確保できるようにするためとのことだ。情報の一覧性は高くないが、軽快に操作できるので、ページ送りやメニュー階層をたどっていくのに煩わしさはない。
視認性向上へのアプローチは、ページ辺りの項目数を絞ることだけにとどまらない。3.0型と大きめの液晶モニタをはじめ、写実的なアイコンや、読みやすいフォント、字間やディザリングの最適化も行って、直感的な操作をフォローしている。
最近のインクジェット複合機は、機能が豊富になったため、ともすれば操作に戸惑うこともあるが、このユーザーインタフェースならば、誰でも簡単にプリントを楽しむことができるだろう。
●スマホプリントやクラウド連携にも対応
昨今はスマートフォンやタブレット端末からのプリント機能も注目されているが、無論MG6230もこれを装備している。iOS端末(iPhone、iPod touch、iPad)とAndroid端末で使える専用アプリの「Easy-PhotoPrint」によって、無線LANのワイヤレス接続で端末内の写真を印刷したり、スキャンしたデータを端末に直接保存することが可能だ。Easy-PhotoPrintは、iOS版ならばApp Storeから、Android版ならばAndroidマーケットから無料でダウンロードできる。
Easy-PhotoPrintは簡易なユーザーインタフェースを採用し、機能もシンプルだ。端末内に保存された写真の印刷は、サムネイルから写真を選択して印刷を開始するだけですみ、PDF文書の印刷にも対応している(Android版はEasy-PhotoPrintで作成したPDFのみ印刷可能)。各種端末からのワイヤレススキャンもサポートし、スキャンしたデータはJPEGまたはPDFとして保存できるほか、メールに直接添付することが可能だ。ただし、他社のようにMicrosoft Office文書の印刷や、オンラインストレージサービスと連動するような機能は用意されていない。
また、アップルが提供する無線LAN経由でのワイヤレス印刷機能「AirPrint」もサポートしている。つまり、iOS端末ではアプリをインストールすることなく、写真やPDFに加えて、メールやWebページなども手軽に印刷することが可能だ。
そのほか、「docomo PRIME series F-01C/09C」では、アプリをダウンロードすることなく、端末内の写真印刷や電話帳のあて名印刷が行える。
プリンタでもトレンドになりつつあるクラウドサービスとの連携については、「PIXUSクラウドリンク」と名付けた新機能を用意。PCを使わずに、プリンタ単体でインターネットにアクセスし、さまざまなデータを印刷できるようになった。PIXUSクラウドリンクは、「オンラインアルバムプリント」「Web定型フォームプリント」「Google Cloud Print」の3つで構成される。
オンラインアルバムプリントはその名の通り、Webの写真共有サイトからデータをダウンロードして印刷を行う機能だ。現状ではCANON iMAGE GATEWAYとPicazaウェブアルバムにアクセスできる。今後は対応するオンラインストレージサービスの拡充などにも期待したい。
Web定型フォームプリントとは、キヤノンのサーバに用意された定型フォームをダウンロードして印刷できる機能だ。便せんや最新版のカレンダー、メモなどのカテゴリを用意しており、今後も定期的にアップデートが実施されるという。
Google Cloud Printは、Google DocsやGmailなど対応したWebアプリからインターネット経由でワイヤレス印刷できる機能だ。AirPrintと同様、印刷のためにプリンタドライバや専用アプリを必要としないため、PCなしで使える。こちらのサービス開始は2012年4月以降を予定している。
●フルHD動画プリントやフィルター印刷機能が充実
PC用のソフトは、写真印刷の「Easy-PhotoPrint EX」、Photoshop CS/Elementsや同社のRAW編集ソフト(Digital Photo Professional)で使える出力プラグイン「Easy-PhotoPrint Pro」、Webページレイアウト印刷の「Easy-WebPrint EX」、入力機能を統合する「MP Navigator EX」、目的別にメニューを並べたユーティリティ「Solution Menu EX」、日本語OCRの「読取革命 Lite」などを用意する。これらはWindows/Mac OS X両対応だ。
2011年モデルの新しいところでは、キヤノンのデジタルカメラで撮影したMOV形式のフルHD動画ファイルから静止画を切り出して印刷できる「フルHD動画プリント」機能に、複数コマを1枚の用紙に並べて印刷する「レイアウト」機能や、複数コマの静止画を1枚に合成する「フレーム合成」機能が追加された。また、写真データを背景ぼかし、ジオラマ風、魚眼風、トイカメラ風、ソフトフォーカスといったフィルターで加工する「お楽しみフィルター」機能も追加されている。
フルHD動画プリントやお楽しみフィルターは、Solution Menu EX、Easy-PhotoPrint EXから利用する仕組みだ。
●写真プリント/カラーコピー/スキャンの画質は?
次はプリンタの本分である画質を見ていきたい。家庭向けのインクジェット複合機で最も多く使われる写真印刷、スキャン、コピーの3種類の結果を下に掲載した。
写真印刷では、5枚の写真をL判に最高品位の設定で出力した。メディアはキヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]を使用している。色味に関してはドライバのデフォルト設定をそのまま利用し、一切の手は加えていない。これらは画質の特徴を把握するための参考で、色再現性は正確さを欠くため、評価は本文を確認してほしい。
・プリントサンプル1――カラー建造物(設定:最高品位)
解像力は問題なく、細かな部分まで再現できている。暗部の描写に関しては、ドライバによるガンマカーブの味付けが多少強いようで、つぶれている部分も見られる。
・プリントサンプル2――カラー風景(設定:最高品位)
このサンプルでは同系色の階調再現力を見ることができる。木々の描写は明部がきれいに描けているが、シャドー部ではつぶれが見て取れる。空のグラデーションも少々物足りず、平坦な絵になってしまった。難しいトーンのサンプルだが、カラーバランスは維持できており、ここまで出せれば一般用途で不満はないだろう。
・プリントサンプル3――モノクロ風景(設定:最高品位)
多少色がかぶってはいるものの、暗部、明部ともきれいに描写できている。グレーインクが奏功したのか、黒つぶれも白飛びもない。雲の硬軟混ざった調子もしっかりと再現できており、インクシステムの優位性が現れたサンプルだ。
・プリントサンプル4――カラー人物(設定:最高品位)
バックや敷物の白さに引きずられたのか、一様に少し薄く青みがかぶった。このため、人物の血色があまりよくない。ただし、敷物の描写はよく再現できており、かなりの部分まで飛ばずに踏ん張れている。これもグレーインクの効能だろうか。
・プリントサンプル5――カラー静物&グラデ(設定:最高品位)
彩度がやや高いため、果物の柔らかな階調が少し損なわれている。その半面、ガラスや金属のような硬調のオブジェクトは印象がよい。トランプの絵柄や色鉛筆の文字、ワインラベルなど、細部の描写はしっかりと再現できており、全体としては見栄えがする。
カラーコピーの出力では、A4サイズの写真を普通紙にコピーした結果を掲載している。コピーモードは標準と高速の2種類を使用した。
・カラーコピーサンプル1――カラー静物&グラデ(設定:デフォルト)
標準モードは高速モードに比べると細部の描写ができており、立体感が増している。ただし、高濃度域に対する大量の吐出を避けるのは高速モードと同様で、ワインボトルの底部やグラデーションパターンの左端は色が少し抜けている。
・カラーコピーサンプル2――カラー静物&グラデー(設定:高速)
高速モードは、かなり色が欠落している。ワインボトルの底部などのようなシャドーでは過剰な水分による紙のたわみを避けるためか、オブジェクトのフォルムだけを描写して、内部にはインクをほとんど打ち込んでいない。感心したのは色鉛筆のケースの白抜き文字を黒字に自動変換していることで、正確な描写よりも内容の伝達を優先している。
印刷物のスキャンでは、反射原稿を600dpiで取り込んだデータを掲載した。TWAINドライバの補正機能はすべてオフにしている。
スキャンサンプル――カラー静物&グラデーション(設定:600dpi)
シャドーが浮いているため、少々締まりに欠ける出力になってしまった。カラーバランスは悪くないので、ドライバでハイライトとシャドーをしっかり設定するか、自動補正をオンにすれば、しっかりと階調が整ったデータが得られる。
●印刷/コピーの速度をチェック
次は印刷速度の測定だ。ここではPCからA4モノクロテキスト、A4カラーチャート&テキスト、L判フチなし写真、L判フチなし写真ダイレクトプリント、A4カラーコピーなどの出力を行い、所要時間を計測している。
測定方法は、PCからのプリントでは用紙を引き込むと同時に計測を開始し、排紙が完了した時点で計測を終えている。これはPCの処理速度に左右されるスプールタイムを排除し、純粋なエンジンスピードを調べるためだ。ダイレクトプリントとコピーについては、処理速度も性能に含まれるので、スタートボタンを押すと同時に測定を開始している。
まずはA4モノクロテキストだが、JEITAのプリンタテストパターン「J1.DOC」を最も高速なモード(速い)と標準モード(標準)の2パターンで印刷した。結果はどちらもストレスなく使える速さだ。品質についても触れておくと、高速モードのプリントはやや色が薄くなるものの、判読は十分に可能なレベル。とはいえ、標準モードとの差はわずか3秒程度なので、普段は素直に標準モードを使用するのがよいだろう。
続いてカラーチャート&テキストの測定だが、モノクロテキストと同様、高速モードと標準モードを使用した。原稿はJEITAのプリンタテストパターン「J9.DOC」を使用しているが、5ページのデータだけに両モードの間で14秒ほどの開きが出た。高速モードの品質はモノクロテキストと同様にやや薄いが判読は可能といったところだ。ただし、カラーチャートなどは色彩が落ちると途端に視認性が低下するので、標準モードを使用するのが無難だろう。
L判フチなし写真印刷では最高品位から標準までの3モードの速度を測定している。さすがにテキストと違ってそれぞれのモードで大きな差が出た。ただし、「標準」と「きれい」の品質は目に見えて違いがあるが、「きれい」と「高品位」の差はさほど大きいとは思えない。A4くらいの大きさになれば違いは顕著になるが、L判では両者の差は感じにくいのだ。L判では「きれい」モードを常用にして、「高品位」は2L以上の大きめなメディアで使用する程度でもよいかもしれない。きれいモードの画質で34秒8は申し分ない速さだ。
次いでL判フチなしダイレクトプリントのテストだが、こちらは選択肢が「きれい」と「標準」の2パターンだけとなる。これはそのまま、PCのプリンタドライバにおける「きれい」と「標準」モードに相当すると見てよいだろう。きれいモードで42秒1はやはり速い。
A4カラーコピーは、デフォルトの標準モードのみを計測している。コピーの品質を見ると、テキストのみの原稿ならばともかく、イラストや写真が混在するならば、標準モードが実用限界のように思える。結果は22秒8とまずまずだ。
●L判フチなし写真印刷のコストは1枚あたり約19.2円
前モデルのMG6130から、インクや純正用紙の価格に変更がないこともあり、ランニングコスト(インクと写真用紙のコスト)はMG6130と同様だ。「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールド」にL判フチなし印刷を行った場合で1枚あたり約19.2円、「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]」だと1枚あたり約29.1円が公称値となっている。
ゴールドの価格は400枚入りパッケージ(1790円)で計算しているため、1枚あたり4.475円となる。一方のプラチナグレードは100枚入りパッケージ(1491円)なので、1枚あたり14.91円だ。
また、明確なアナウンスはないが、キヤノン写真用紙・光沢 ゴールドのA4用紙へのフチあり印刷が約88.5円、普通紙へのフチあり印刷が約10.7円というMG6130のコストは、MG6230でも共通と思われる。
●好評のサイレントモードは使い勝手を向上
動作時の駆動音についても触れておこう。MG6230の駆動音はうるさいというほどではなく、昼間にリビングなどで使うぶんには気にならないだろうが、静かな深夜帯などでは動作音が耳に付くこともあるかもしれない。
だが、PIXUSには伝統のサイレントモードが用意されている。これを利用すると、ペーパーフィードやイジェクト時のローラー音、ヘッドキャリッジが駆動する際に発する断続的な高音がかなり抑制される。
公称値によればサイレントモード時の駆動音は約37.7デシベルとのこと。試しに、環境騒音31.5デシベル程度の室内で本体の30センチ手前に騒音計を設置し、A4普通紙カラー印刷中の動作音を測定したところ、標準設定では50~58デシベル程度だったが、サイレントモードをオンにすると42~45デシベル程度まで動作音が低減された(ただし、印刷準備や排紙完了時は大きな駆動音がする)。測定環境が違うため、公称値と同じようにはならないが、確かな違いが実感できた。
補足しておくと、単に動作音が小さくなるだけでなく、音の高低差があまりないのが好印象だった。音のレベルがほぼ一定のため耳に障らず、作業を妨げることがない。環境によっては昼夜を問わずに重宝することだろう。
なお、今年からはサイレントモードが操作パネルのメインメニューにも並んでおり、手軽にオン/オフができるようになった。
●まとめ――完全復活が待たれる“もう1つの本命”
このようにMG6230は、前モデルから比べて革新的な機能こそないものの、カラバリの拡充やスマートデバイス/クラウドサービスとの連携、細かな部分での改善を行っており、非常に扱いやすいインクジェット複合機に仕上がっている。そもそも前モデルの時点で完成度が高かったので、そこから改良を重ねたモデルに大きな弱点はない。
唯一の懸念点を挙げるならば、タイ洪水の影響で年末商戦にMG6230の生産に影響が出たことだが、別工場への切り替えも進んでおり、今後は次第に供給や価格が落ち着いてくるだろう。現状でブロンズモデルは取扱店が多くない状況だが、スタンダードなブラックとホワイトは比較的数が出ている。2011年12月22日現在、実売価格はブラックとホワイトが2万円台前半~後半、ブロンズが2万円台後半~3万円前後といったところだ。
予想外の外的要因で競合機種に比べて供給安定や値下げが進まず、例年になく苦戦を強いられている(それでもシェアは高い位置を維持しているが)PIXUSの売れ筋モデルだが、本来の実力がトップシェアを競うところにあるのは間違いない。
直接のライバルはエプソンの人気機種であるEP-804ARだが、特に普通紙と写真用紙へのバランスよい出力品質や、さまざまなメディアを素早く使い分けて印刷しやすい2Way給紙、インテリジェントタッチシステムの演出と使い勝手といった点に魅力を感じるならば、迷わず選んでいい“もう1つの本命”といえる。
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
(この記事はテクノロジー総合(+D PC USER)から引用させて頂きました)
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