「株主利益ばかり重視すると行きつく先は「一将功なりて万骨枯る」日本に - 北野 一:JPモルガン証券」の詳細記事: 老眼 老眼 老眼
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株主利益ばかり重視すると行きつく先は「一将功なりて万骨枯る」日本に - 北野 一:JPモルガン証券
【村上龍からの質問】「雨後の竹の子」のように成功・成長企業が日本にあふれ出るためには、何が必要なのでしょうか。
【回答】
成功する企業が雨後のタケノコのように続々と誕生する条件。人類史的に言えば、「株式会社」や「特許制度」のような社会インフラの整備が、その必要条件であると思います。正確な統計を持ち合わせておりませんが、「企業」が激増したのは、それこそ、数千年に及ぶ人類の歴史のなかでも、この100年、200年のことではないでしょうか。それは、リスクに挑戦する特異な人物を、社会に恩恵をもたらす者として、守り育てる仕組みが整ってきたからだと思います。
そう考えると、この10数年の日本企業の不振は、大きな流れの中では、ちょっとした誤差なのかもしれません。実際、「失われた20年」のなかでも、2000年頃のITバブル、2006年前後の「日はまた昇る」ブームの時には、この日本においてさえ、IT企業や不動産会社が、雨後のタケノコのように生まれました。ただ、残念ながら全てが成功したわけではなく、既に消滅した企業がたくさんあります。もっとも、それもまた当然のことでしょう。米国の自動車産業だって、何千社もあるなかから、最終的には2、3社しか生き残らなかったのですから。
ところで、この10数年の日本はちょっとした誤差かもしれないと言いましたが、今を生きる生身の人間からすると、運が悪かったなぁと、そう簡単に納得できるものではありません。やはり、誰かのせいにしたくなります。今も、まさに労使の間で、春闘という罵りあいが始まりました。私は、彼らの議論のなかに、少しヒントがあるように思います。経営思想の転換が重要ではないかと思うのです。連合が経団連を批判して言っている言葉、「わが社だけがうまくいけばいい」という発想からの脱却がカギを握っていると思います。
経団連の「2012年版経営労働政策委員会報告」(以下、報告)の論理は、円高やら震災の打撃やら欧州の債務問題など、外性的な要因による経営環境の悪化を前に、ベースアップは「論外」だし、定期昇給についても「延期・凍結も含め、厳しい交渉」は避けられないというものです。一方、経団連の「報告」に対する連合の反論は、デフレや円高というのは外性的なショックではなく、経営者の近視眼的な経営による人災だというものです。従って、分配を正常化すれば、デフレ及び円高の克服につながる筈だと。
要するに、連合は、企業経営の目標は利益ではなく、付加価値額の極大化であると主張しているわけです。1990年代にバブルの崩壊を経験した我々は、それを反省し、経営に規律をもたらすべく、ROE重視の経営に舵を切りました。ROE重視とは、利益重視であり、すなわち株主のために働くことを意味します。このROEを刹那的に高めることは可能です。投資も手控え、人件費を節約すれば出来ます。ただ、これをしばらく続けると、結局、「一将功なりて万骨枯る」。国内需要が落ち込み、元も子もなくなることになるわけです。
それが企業を蝕み、企業が弱体化すると、国家財政の屋台骨も揺らぎます。しかし、日本のマスメディアは、牧野洋さんの新著「官報複合体」(講談社)が喝破しているように結局、権力目線ですから、企業の成長が大切だ、財政再建が焦眉の急だと大騒ぎするだけです。社会全体の底上げを図るのではなく、上澄みだけきれいにしようという発想になっているのです。まさに、ロナルド・ドーアさんが指摘しているように「今の日本には「憂国の士」はいっぱいいるが、…「憂国民の士」、「憂社会の士」がいなくなった」(「金融が乗っ取る世界経済」(中公新書)ということです(「憂国の士」には、「憂企業の士」をつけ加えても良いでしょう)。
我々は、この20年間、アングロサクソン的経営を誤って輸入した面はなかったでしょうか。単純にROEを上げれば良いと。そうではなく、様々なステークホルダー(株主、債権者、労働者、下請け企業、地域社会)の満足度の総和を極大化するような方向を目指すべきであったと思います。むろん、こうした目標には、これをやれば達成できるという方程式があるわけでもありません。連合が主張するように、分配を変えれば良いかというと、そう単純でもなく、ともすれば「努力目標」あるいは「精神論」になってしまいます。
ただ、私は、こうした「努力目標」や「精神論」を是とする経営思想が、やはり必要なんじゃないかと思います。それが、冒頭の社会インフラという必要条件に加わった時に、活気も蘇ってくるのではないかと。そんな気がしております。
JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一
(この記事は経済総合(村上龍 Japan Mail Media)から引用させて頂きました)
au 機種変更
【回答】
成功する企業が雨後のタケノコのように続々と誕生する条件。人類史的に言えば、「株式会社」や「特許制度」のような社会インフラの整備が、その必要条件であると思います。正確な統計を持ち合わせておりませんが、「企業」が激増したのは、それこそ、数千年に及ぶ人類の歴史のなかでも、この100年、200年のことではないでしょうか。それは、リスクに挑戦する特異な人物を、社会に恩恵をもたらす者として、守り育てる仕組みが整ってきたからだと思います。
そう考えると、この10数年の日本企業の不振は、大きな流れの中では、ちょっとした誤差なのかもしれません。実際、「失われた20年」のなかでも、2000年頃のITバブル、2006年前後の「日はまた昇る」ブームの時には、この日本においてさえ、IT企業や不動産会社が、雨後のタケノコのように生まれました。ただ、残念ながら全てが成功したわけではなく、既に消滅した企業がたくさんあります。もっとも、それもまた当然のことでしょう。米国の自動車産業だって、何千社もあるなかから、最終的には2、3社しか生き残らなかったのですから。
ところで、この10数年の日本はちょっとした誤差かもしれないと言いましたが、今を生きる生身の人間からすると、運が悪かったなぁと、そう簡単に納得できるものではありません。やはり、誰かのせいにしたくなります。今も、まさに労使の間で、春闘という罵りあいが始まりました。私は、彼らの議論のなかに、少しヒントがあるように思います。経営思想の転換が重要ではないかと思うのです。連合が経団連を批判して言っている言葉、「わが社だけがうまくいけばいい」という発想からの脱却がカギを握っていると思います。
経団連の「2012年版経営労働政策委員会報告」(以下、報告)の論理は、円高やら震災の打撃やら欧州の債務問題など、外性的な要因による経営環境の悪化を前に、ベースアップは「論外」だし、定期昇給についても「延期・凍結も含め、厳しい交渉」は避けられないというものです。一方、経団連の「報告」に対する連合の反論は、デフレや円高というのは外性的なショックではなく、経営者の近視眼的な経営による人災だというものです。従って、分配を正常化すれば、デフレ及び円高の克服につながる筈だと。
要するに、連合は、企業経営の目標は利益ではなく、付加価値額の極大化であると主張しているわけです。1990年代にバブルの崩壊を経験した我々は、それを反省し、経営に規律をもたらすべく、ROE重視の経営に舵を切りました。ROE重視とは、利益重視であり、すなわち株主のために働くことを意味します。このROEを刹那的に高めることは可能です。投資も手控え、人件費を節約すれば出来ます。ただ、これをしばらく続けると、結局、「一将功なりて万骨枯る」。国内需要が落ち込み、元も子もなくなることになるわけです。
それが企業を蝕み、企業が弱体化すると、国家財政の屋台骨も揺らぎます。しかし、日本のマスメディアは、牧野洋さんの新著「官報複合体」(講談社)が喝破しているように結局、権力目線ですから、企業の成長が大切だ、財政再建が焦眉の急だと大騒ぎするだけです。社会全体の底上げを図るのではなく、上澄みだけきれいにしようという発想になっているのです。まさに、ロナルド・ドーアさんが指摘しているように「今の日本には「憂国の士」はいっぱいいるが、…「憂国民の士」、「憂社会の士」がいなくなった」(「金融が乗っ取る世界経済」(中公新書)ということです(「憂国の士」には、「憂企業の士」をつけ加えても良いでしょう)。
我々は、この20年間、アングロサクソン的経営を誤って輸入した面はなかったでしょうか。単純にROEを上げれば良いと。そうではなく、様々なステークホルダー(株主、債権者、労働者、下請け企業、地域社会)の満足度の総和を極大化するような方向を目指すべきであったと思います。むろん、こうした目標には、これをやれば達成できるという方程式があるわけでもありません。連合が主張するように、分配を変えれば良いかというと、そう単純でもなく、ともすれば「努力目標」あるいは「精神論」になってしまいます。
ただ、私は、こうした「努力目標」や「精神論」を是とする経営思想が、やはり必要なんじゃないかと思います。それが、冒頭の社会インフラという必要条件に加わった時に、活気も蘇ってくるのではないかと。そんな気がしております。
JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一
(この記事は経済総合(村上龍 Japan Mail Media)から引用させて頂きました)
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